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ニッケル合金とは?種類や特性を正しく理解して最適な材質選択を

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ニッケル合金とは?種類や特性を正しく理解して最適な材質選択を
目次

銀色で美しいニッケルは、実用的で強度があり、さまざまな優れた耐性を持っています。
目的に応じた耐性を高めるために、ニッケルと他の元素と合わせて加工したものを、ニッケル合金と呼びます。
ニッケル合金は加工性が高いことから、工業分野において多く使用されている合金です。
種類によって特徴が異なるため、目的によって適切に素材を選ぶ必要があります。
本記事では、金属材料を取り扱う企業の方に向けて、ニッケル合金について解説しています。
ニッケル及びニッケル合金の基本的知識をはじめ、種類や用途についても詳しく触れていますので、特徴を深く理解して材質選択の参考にしてください。

ニッケルとは

まず、ニッケルについて解説します。
ニッケルは、銀色の光沢がある金属元素で、化学記号は「Ni」、原子番号は「28」です。
地球上には金属の中で5番目に豊富にあると言われ、原料のニッケル鉱石は、多くの地域から産出しています。
ニッケル鉱石には2種類あり、硫化鉱と酸化鉱と呼ばれるものです。
硫化鉱は、ロシア・カナダ・豪州・中国などの大陸国で産出されます。
主にインドネシア・フィリピン・キューバなど熱帯諸国の地表近くに存在されるとされるのが、酸化鉱です。
ニッケル自体が持つ特性としては、腐食や酸化に対する優れた耐性が挙げられます。
500℃以下の大気中では、海水や淡水をはじめ、中性・アルカリ性塩類の水溶液への安定した耐食性を発揮し、大気中に放置しても置割れが発生しません。
ニッケルの表面には不動態被膜があり、この薄い膜によって錆を防いでいるのです。
一方、酸化性の塩類や硝酸などの酸に弱く、耐酸化性を高めるために他の元素と合わせてニッケル合金としてよく使われています。
ニッケルは、延性があり加工性がよい点からも、合金に加工することで多くの用途で使われているのでしょう。

ニッケル合金とは

純金属に他の元素を混ぜて作る金属を、合金と呼びます。
ニッケルの持つ耐性を高め、目的に合わせた環境に適応できるようニッケルの成分比を50%以上に上げて作られた金属素材がニッケル合金です。
磁気変態点は353℃で、面心立方格子の結晶構造をしています。
一番多く生産されている合金は、ニッケル・鉄・クロムから成るステンレス鋼で、およそ8~12%のニッケルが含まれています。
他にも多くの種類があり、それぞれの特徴を活かして適切な材質選択をすることにより、優れた効果を得ることが可能です。
市場で扱われるもののほとんどは、商標名が付いています。
例えばハステロイ・モネル・インコネルなどは登録商標ですが、知名度の高さから一般名詞のように使われています。

ニッケル合金の特性

まず優れた特性として挙げられるのは、錆と熱に強い点です。
合わせる材質によって特性は異なりますが、化学工場など耐食性を重要視する場合は、ニッケルやクロム、モリブデンなどが用いられています。
また、ニッケルにクロム、コバルト、チタンなどを合わせた合金は、1000℃の高温に耐え得るほどの耐熱性があり、航空機のガスタービンなどには欠かすことのできない材料です。
更に電気磁気特性もあり、電磁干渉の遮蔽目的でも使われます。
耐食性と耐熱性が高く、過酷な環境にも対応できるニッケル合金は、今後も幅広い用途で使われ続けるでしょう。
また長い耐用年数も大きな特徴でありメリットで、さらに耐用年数終了後も回収・リサイクルすることで、再利用できます。
世界中で最も多くリサイクルされている材料のひとつです。

ニッケル合金の種類

ニッケル合金は、成分の種類や含まれる金属の量により、いくつかの種類に分類できますので、それぞれの特徴と一緒にみていきましょう。

ニッケル銅合金

ニッケル銅合金は、元々ニッケル自体を銅鉱石から分離抽出したことから、純ニッケルよりも歴史が長いと言われています。
銅を含んでいるため、大気はもとより、アルカリ、希塩酸、海水に対する耐食性が特徴です。
また、フッ酸に対しても優れた耐食性を発揮して、幅広い環境に耐えることができる合金です。
主な種類にはモネル400・モネルK-500などがあり、高い強度と高度を併せ持っています。

ニッケルクロム合金

ニッケルクロム合金は、その名のとおりニッケルとクロムを合わせた合金で、その一番の特徴は熱と酸に対する強い耐性です。
ニッケルクロム合金は、電気抵抗・耐食・耐熱合金として幅広い用途に使われています。
主な種類には、インコネル・ハステロイ・ナイモニックなどがあります。
電熱線として有名なニクロムは、高温環境における耐酸化性が優れた合金です。

ニッケル鉄合金

ニッケル鉄合金は磁性・低膨張合金で、主に半導体製造などの分野で活用されています。
主な種類は、パーマロイ・コバール・インバーです。

ニッケルクロム鉄合金

ニッケルクロム鉄合金は、一定以上の鉄を含むことから他の合金に比べて加工性に優れ、耐食性に加え、高温環境での強度の高さが特徴です。
代表的な合金はインコネル600で、ニッケル76%・クロム16%・鉄8%の割合で作られています。

高ニッケル鉄基合金

高ニッケル鉄基合金は、ニッケルの含有率が50%を超えないものの、その特性からニッケル合金と同様に扱われています。
高級ステンレス鋼に分類され、代表的な種類はカーペンター20Cb-3・インコロイ825などです。

ニッケルモリブデン合金

代表的なニッケルモリブデン合金として挙げられるのは、ハステロイです。
ハステロイはニッケルとモリブデンの固溶体で、酷い腐食環境でも特異な耐食性を発揮します。
以上のように、目的に合わせて耐性を向上させるために加工された合金が数多く見られます。

ニッケル合金の用途

主な用途として、化学工場や航空機のほか、身近な製品などに幅広く用いられています。
種類によって異なる、ニッケル合金の用途をみていきましょう。

石油精製装置・硬貨

優れた強度と高度を持つニッケル銅合金のモネル400・モネルK-500は、化学工業の分野で石油精製装置や石油掘削工具に用いられます。
海水中での優れた耐食性が特徴の7:3キュープロ・9:1キュープロの主な用途は、海水浸漬部材です。
ニッケル銅合金は、日本の硬貨の原料としても使われています。

電熱線・航空機・ロケットエンジン

ニッケルクロム合金の中でも、高温となる環境下で耐酸化性を発揮するニクロムは、電熱線として使用されています。
耐食合金は公害防止・排煙脱硫装置などに使われており、耐熱合金の主な用途は、原子炉部品をはじめ、航空機やロケットエンジンの部品です。

電磁波シールド・時計部品・電子部品

ニッケル鉄合金の主な用途は、電磁波シールド、磁気増幅器、時計部品などです。
そのほか、低膨張剤や磁性材料として電子部品関連の分野で使用されます。

ニッケル合金を正しく理解しましょう

いかがでしたでしょうか?
種類や特性を正しく理解した上で、材質選択の際に参考にしてください。
ジェムス・エンヂニアリングでは40年以上の鉄鋼貿易の経験を活かして、汎用鋼から超合金、非鉄まで幅広い分野で時代のニーズに合わせてグローバルネットワークを構築してまいりました。
特に特殊鋼の分野では、日本メーカーのみならず海海外のメーカーとのネットワークも有しており、豊富な商品ラインナップからお客様に最適な商品のご提案をさせて頂きます。
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