特殊用途向け鋼材・ステンレス快削鋼・工作機械・金属・金型のジェムス・エンヂニアリング

HOME > 特集 > コラム > 特殊鋼とは?種類や用途や含まれている添加物について

特殊鋼とは?種類や用途や含まれている添加物について

特殊鋼とは?種類や用途や含まれている添加物について

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
特殊鋼とは?種類や用途や含まれている添加物について
目次
 

あまり意識していないかも知れませんが、私達の生活の中には特殊鋼で作られたものが溢れています。それだけ生活に溢れているものなのに、特殊鋼についてどの程度知っていますか? 

今回は、そんな実はあまり知らない特殊鋼の種類や用途、含まれている添加物について紹介します。 

特殊鋼について知れば加工などを行う際にどの特殊鋼を使うべきかわかるようになります。加工やもの作りをする方や特殊鋼について深く知りたい方必見です。 

特殊鋼とは

特殊鋼とは、鉄や炭素にさまざまな元素を掛け合わせた合金鋼であり、掛け合わせる元素やタイミング、量によってさまざまな特性を持つ特徴があります。 

 

  1. 硬さ 
  2. 強さ
  3. 靭性(しなやかさ)
  4. 耐腐食性
  5. 耐熱性 
  6. 耐摩擦性
  7. 加工性

 

元素を掛け合わせるとこれらの特性を持った特殊鋼は、それぞれの特性を生かした用途で使用されます。 

特殊鋼の種類と用途

特殊鋼は主に3種類に分けられます。 

 

  1. 構造用鋼
  2. 工具鋼
  3. その他特殊用途鋼

 

そしてこの中のその他特殊用途鋼はまた5種類に分けられます。 

  1. ステンレス鋼
  2. 耐熱鋼 
  3. 超合金・超耐熱合金
  4. バネ鋼 
  5. 快削鋼


それではそれぞれの特性や用途について見ていきましょう。
 

構造用鋼とは

構造用鋼とは、建築物の骨組みや機械の部品などに多く使われている鋼材です。多くの場所で使われているため、使用場所に応じてJIS規格に合わせて炭素やリンの配合を僅かに調整できます。 

炭素やリンの配合を変えるとより強度面の強化が期待できます。同じ構造用鋼に分類されますが、厳密には配合率により複数の種類があり、とくに、建築現場などでよく使用される構造用鋼は2種類です。 

 

  1. 一般構造用圧延鋼材
  2. 機械構造用圧延鋼材


これらは同じ構造用鋼ではありますが、特徴がそれぞれ違います。
 

一般構造用圧延鋼材

よく「SS材」と表記されています。他の鋼材よりも低コストで簡単に手に入り、建築現場などではSS材と他の構造用鋼と組み合わせて使用される場合が多いです。 

ただ、溶接には不向きとされています。 

機械構造用圧延鋼材

よく「SC材」と表記されます。炭素が多く含まれているため、他の構造用鋼より強度が高いといった特徴があります。 

溶接にも向いているとされ、現在建築現場ではよく使用されています。 

工具鋼とは

工具鋼とは、切削や加工の治具や工具に使用される鋼としてJIS規格は規定しています。一口に工具鋼と言っても用途によって含まれる化学成分が違うため、性能も大きく変わります。 

工具鋼の主な種類は6種類です。 

 

  1. 炭素工具鋼 
  2. 切削用合金工具鋼
  3. 他衝撃用合金工具鋼 
  4. 摩擦不変形用合金工具鋼
  5. 熱間加工用合金工具鋼
  6. 高速度鋼

 

それぞれの特徴や用途などを紹介します。 

炭素工具鋼

炭素を0.6〜13%含んでおり、小型の工具の材料として多く使用されています。 

炭素含有量が少ないものはしなやかさが高いため、刻印やナイフの刃として、炭素含有量が多いものは硬度が高いため、ヤスリやカミソリとしてそれぞれ使われているのが特徴です。 

切削用合金工具鋼

炭素を1〜1.5%、その他(クロム・タングステン・バナジウム・ニッケルなど)1〜2%を含んでいます。その名の通り、切削用に使用される切削工具やドリルに多く使われています。 

他衝撃用合金工具鋼

炭素を0.5〜1%、その他(クロム・タングステン・パラジウムなど)1〜2%を含んでいるものです。ポンチ(製作物に加工するための目安を付ける作業)、たがね(金属や岩石を加工するための工具)に使用されています。 

耐摩不変形用合金工具鋼

炭素を1〜2%、その他(クロム・タングステン・モリブデン・バナジウムなど)を含んでいます。ゲージや抜き型、線引きダイスなどに使用されています。 

熱間加工用合金工具鋼 

炭素0.3〜0.8%、その他(クロム・タングステン・モリブデンなど)10%以下を含んでいものです。ダイブロック(ダイプレート)の材料として使われています。 

高速度鋼

炭素0.7〜1.6%、その他(タングステン・モリブテン・バナジウム・クロム・コバルトなど)が多量に含まれています。高速切削作業などに使用されており、刃先が赤く熱を持っても切れ味が落ちないため高級工具の材料として使用されているのが特徴です。 

ステンレス鋼とは

特殊鋼の中でも、一番私達の生活に馴染みがあるのがおそらくこのステンレス鋼です。薄い保護膜を作る働きがあるため、サビに非常に強いです。 

クロムの含有量が増える程、保護膜が強くなるためサビに対する強さが増します。サビに強く、耐熱性や加工性も優れているため、多くの場面で活用されています。 

 

  1. 食器などの厨房用品
  2. 機械構造部品
  3. 医療機械器具
  4. 航空機部品

 

上記で紹介したのは使用用途のごく一部です。 

耐熱鋼とは 

耐熱鋼とは、その名の通り高熱に晒されても耐えられる鋼です。炭素鋼などに比べて高温度の空気やガスに晒されても酸化や腐食はほとんどしません。 

高温になる可能性のある場所での機械部品や、水蒸気ボイラーのチューブの材料として使われています。 

超合金・超耐熱合金とは

超合金・超耐熱合金とは、ステンレス鋼や耐熱鋼よりも耐熱性や耐酸化性に優れています。高温と高負荷がかかる場所で使用されているのが特徴です。 

 

  1. 自動車や航空機などのエンジン
  2. 火力発電所
  3. タービン

 

また、最近は燃料を燃焼させて発生する燃焼ガスを使い機械を動かす内燃機関が注目されています。内燃機関は高温、高負荷になりやすく今後今以上に需要が増えると言われています。 

バネ鋼とは

バネ鋼とはその名の通り、バネに使用される靭性(しなやかさ)に優れた鋼です。基本的には熱間成形で作られるものだけを指しますが、最近では冷間成形で作られるものも合わせてバネ鋼と呼んでいます。 

どの程度の負荷であれば元の形に戻るのかが重要であり、私達のよく知る渦を巻いているバネと板状のバネがあります。 

快削鋼とは

快削鋼とは、切削加工をする際によく使用される鋼です。元々、切削加工のために作られたため、曲げる加工や溶接加工にはあまり向きません。 

特殊鋼に使用される添加物

特殊鋼は、鉄から不純物を取り除いたうえで炭素を加えた鋼にさまざまな添加物を加え、多くの効果や特性を持たせています。加える添加物の種類や割合、組み合わせによって多種多様な特性を生み出せます。 

マンガン(Mn) 

粘さを残しつつ強さを硬さを高める 

モリブデン(Mo) 

粘さと高温の中では強さと硬さを高める 

クロム(Cr) 

耐摩擦性が増しサビにくくなる 

ニッケル(Ni) 

粘さと強さ、耐熱性が高くなる 

サビにくい(クロム併用時) 

バナジウム(V) 

強さと強さ、耐摩擦性を高める 

タングステン(W) 

粘さと高温の中では強さと硬さを高める 

コバルト(Co) 

高温でも硬さを保ちやすい 

銅(Cu) 

サビにくい 

ボロン(B) 

僅かな量で硬さを高める 

チタン(Ti) 

表面の硬さを高めサビにくくなる 

 

主に使用される添加物は上記の10種類です。 

しかし、求める特性などによっては今回紹介していない添加物を加える場合もあります。 

特殊鋼の熱処理

特殊鋼が特殊鋼としてそれぞれの特性を最大限発揮するためには熱処理が欠かせません。熱処理を行うと金属が持つ硬さを高め、機械的特性をより引き出します。 

焼きなまし 

700~900℃に加熱しゆっくりと冷却 

内部に発生する歪みをなくして軟化させる 

焼ならし 

850~950℃に加熱し空気中で放冷 

金属組織を微細化 

焼入れ 

850~950℃に加熱し液体(油や水)で急冷 

硬さと強度を高める 

焼戻し 

焼入れのあとに再加熱して冷却 

焼入れで不安定になった金属組織を安定させる 

靭性を高める 

浸炭 

鋼の表面に炭素を浸透 

表面に炭素濃度が濃い状態で急速に冷却 

耐摩耗性・耐疲労性・硬さを高める 

窒化 

鋼の表面に窒素を吸収(窒素化合物) 

表面の硬さを高める 

 

すべてを行うのではなく、特殊鋼の持つ特性や持たせたい特性に合わせた方法を選び熱処理を行います。 

特殊鋼の用途

特殊鋼は「特殊鋼の種類と用途」でもくわしく紹介しましたが、持っている特性や特徴に合わせて私達の生活のいたる所で使われています。 

ステンレス鋼であれば包丁などの調理器具、超合金・超耐熱合金であれば車のエンジンや電気の発電などです。 

よりくわしく知りたい方はぜひ上記の「特殊鋼の種類と用途」をご覧ください。 

特殊鋼が持つ固有の特性を理解しましょう

いかがでしたか? 
今回は特殊鋼の種類や用途、使用される添加物などについて紹介しました。 

それぞれの用途に合わせてさまざまな特性や特徴を持っている特殊鋼。特殊鋼が持つ固有の特性をしっかりと理解すれば、使用のタイミングや材料選びに間違いや失敗がほぼなくなります。 

金属の加工やもの作りに携わる方であれば、今回紹介した特殊鋼の特性を知っておくと必ず役に立つ時が来るでしょう。 

もし特殊鋼の取り扱いなどに興味がある方は一度、ジェムス・エンヂニアリングにご相談ください。 
当社の豊富な商品ラインナップからお客様に最適な商品をご提案いたします。 
取り扱い商品について知りたい方は、以下のURLにくわしく記載しておりますぜひご覧ください。 

https://www.jmsltd.co.jp/specialsteel.html 

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Contact

お問い合わせ・ご相談

電話・FAXでのお問い合わせ

03-3862-3301

03-3863-2123