特殊用途向け鋼材・ステンレス快削鋼・工作機械・金属・金型のジェムス・エンヂニアリング

HOME > 特集 > コラム > ステンレス鋼とは?特徴・種類・用途など知っておきたい基礎知識

ステンレス鋼とは?特徴・種類・用途など知っておきたい基礎知識

ステンレス鋼とは?特徴・種類・用途など知っておきたい基礎知識

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ステンレス鋼とは?特徴・種類・用途など知っておきたい基礎知識
目次

ステンレス鋼は、食器や家電、パソコンなど生活に身近なものから、医療器具や航空機部品など専門分野で使用するものまで、広範囲において用いられている金属の一種です。
ステンレス鋼のおもな成分は鉄ですが、炭素やクロム、ニッケルなど、含まれる成分の種類や量によって細かく分類することが可能です。
錆びに強い、強度があるなどがステンレス鋼の特徴としてよく知られていますが、 種類分けすることによって、それぞれ性質が少しずつ異なり、用途も変わってきます。
ここでは、ステンレス鋼の種類や用途、メリット・デメリットなどを解説しています。
ステンレス鋼のことをくわしく知りたい、ステンレス鋼の基礎知識を確認したいという方は参考にしてみてださい。

ステンレス鋼とは

ステンレス鋼とは、鉄を主成分とし、炭素を1.2%以下、クロムを10.5%以上含んでいる合金鋼です。
ステンレス鋼は英語では「stainless steel」と表記され、「stainless」は「錆びない」とい意味を持っており、錆びやすい鉄に代わる金属として発明されたと言われています。
ステンレス鋼が錆に強いのは、表面に不動態被膜というとても薄い膜を形成しているからです。
鉄は酸素と結びつくと酸化鉄を発生し、それによって錆という現象が起こります。
クロムは鉄より酸素と結びつきやすい性質を持っており、鉄が酸化するより先にクロムが酸化し、不動態被膜を形成して鋼の表面を覆います。
このクロムの性質によって、ステンレス鋼は金属の中で特に錆に強いと言われているのです。
ステンレス鋼の種類の中には、ニッケルを含むものと含まないものがあります。
ニッケルを加えることで、さらに耐食性が増し、より錆に強いステンレス鋼が仕上がります。
錆びに強いと言われているステンレス鋼ですが、錆が発生してしまう場合もあります。
例えば、すでに錆びている金属に長期間触れている場合や傷がついてしまった場合などです。
錆びている金属に長時間ステンレス鋼が触れていると、空気中の酸素と結びつきその部分だけ錆びてしまいます。
また、何かの弾みで傷がつき、表面の不動態被膜が破れるとその部分は鉄と同じく錆びやすい状態となってしまいます。
膜が再形成される前に酸化することで、傷がついた部分のみ錆が発生することがあるのです。
ステンレス鋼は、「SUS304」「SUS430」のように「SUS+数字」で種類を表します。
SUSとは、「steel use stainless」の頭文字をとったもので、後に続く数字はステンレスの鋼種です。
種類に応じて、300番台、400番台などに分類され、中でも「SUS304」は世界中で使われているステンレス鋼の代表格ともいえる種類です。

ステンレス鋼のメリットとデメリット

次に、ステンレス鋼のメリットとデメリットを解説します。

メリット

ステンレス鋼のメリットは、耐食性がある、耐熱性が高い、強度があるなどが挙げられます。
ステンレス鋼の最大のメリットと言えるのが、耐食性がある=錆に強いという点。
鉄が酸化すると錆が発生してしまうのは仕方ない性質ですが、製品を作る上で鉄は欠かせません。
ステンレス鋼は、錆に強いことで屋内外問わずさまざまな環境で幅広い分野に使用できる、わたしたちの生活になくてはならない金属材料なのです。

また、熱伝導率が低いため耐熱性や保温性に優れている点もメリットのひとつと言えるでしょう。
身近なものだとコップや水筒、高温となる化学プラント用装置などに使用されています。

強度や硬度が高いという点から、ジェット機に使用するタービンブレードやブレーキディスクなど、重要な役割を担う部品に使用されることもあります。

デメリット

幅広い分野において多くの製品に使用されているステンレス鋼ですが、メリットばかりではありません。
ステンレス鋼は、一般的な鋼材に比べて高価なものが多く、難削材と言われています。
熱伝導が低いので切削加工の際に発生する熱が逃げにくく、工具の刃先に負担がかかり、工具寿命が短くなってしまうためです。
また、ステンレス鋼は水素の影響を受けると強度が低下するという現象が起こります。
鋼材は水素を取り込むという性質を持っており、鋼材の中に水素が侵入すると強度が低下してしまう水素脆性という現象を起こすのですが、中でもステンレス鋼は水素脆化を起こしやすい鋼材です。
水素脆性を防ぐには、ベーキングという再加熱により水素を放出させる処理方法が用いられます。
加工方法や種類によって処理の仕方が異なりますが、一般的には190℃~220℃で2~24時間、再加熱を行います。
このようなメリット・デメリットを踏まえた上で、適した環境や用途で使用することが大切です。

ステンレス鋼の種類と用途

ステンレス鋼には合金の比率などによってさまざまな種類があり、5種類に分別することができます。
ここでは、種類別に特徴や用途などを紹介します。

マルテンサイト系

マルテンサイト系はクロムと炭素をおもな成分とし、ニッケルを含まないステンレス鋼です。
熱処理によってマルテンサイトという硬い金属組織を形成するため硬度が高い反面、他の種類と比べると、厳しい環境において錆びやすく最も耐食性が劣るという特徴があります。
刃物やノズル、タービンブレードなどに使用されることが多く、マルテンサイト系にはSUS403やSUS410などがあります。

オーステナイト系

オーステナイト系は、クロムとニッケルを主成分とし、常温の状態でオーステナイトという金属組織を形成、唯一ニッケルを含むステンレス鋼です。
他のステンレス鋼に比べ耐食性に強く、熱処理はできませんが靭性があり、溶接性に優れているという性質を持っています。
オーステナイト系は、ステンレス鋼生産量の約6割を占めており、有益性の高い金属材料です。
主なオーステナイト系としてSUS304やSUS316が挙げられ、スプーンやフォークなどの家庭用品、自動車部品、建築用品など幅広い分野において使用されています。

フェライト系

フェライト系は、クロムを主成分としており、ニッケルを含まないステンレス鋼です。
オーステナイト系に次いで、耐食性に優れ、熱処理をしても硬化が少なく軟質を維持することが可能なのでプレス加工に適しているという性質を持っています。
加工性が高いため、建築内装材やガス・電気器具部品に使われることも多く、磁性を持っている点も特徴のひとつ。
フェライト系はSUSの後に400番台の数字で表記され、SUS430が代表格です。

二相系

二相系とは、オーステナイト系・フェライト系を掛け合わせた種類で、それぞれの金属組織が混在しているステンレス鋼です。
耐食性と強度に優れているため、海水機器や化学プラント用装置などに使用されており、SUS329J1が代表格です。

析出硬化系

析出硬化系とは、クロムとニッケルと主成分とし、アルミニウムや銅などのる元素を添加し、焼入れや焼戻しと似た熱処理である析出硬化処理によって、これらの元素の化合物を分離させ、硬度をアップしたステンレス鋼のことです。
耐食性があり、高温に強いため、宇宙開発や航空機分野で使用されています。
析出硬化系は、SUSの後に600番台の数字で表記され、SUS630やSUS631が代表角です。

特殊鋼の取り扱いならジェムス・エンヂニアリング

いかがでしたでしょうか?
ジェムス・エンヂニアリングでは多数のステンレス鋼や特殊鋼を取り扱っています。
取り扱いを検討している方は、ぜひご相談ください。
ジェムス・エンヂニアリングでは40年以上の鉄鋼貿易の経験を活かして、汎用鋼から超合金、非鉄まで幅広い分野で時代のニーズに合わせてグローバルネットワークを構築してまいりました。
特に特殊鋼の分野では、日本メーカーのみならず海海外のメーカーとのネットワークも有しており、豊富な商品ラインナップからお客様に最適な商品のご提案をさせて頂きます。
当社が取り扱う商品のラインナップに興味のある方は、ジェムス・エンヂニアリング株式会社の特殊鋼事業のページをご覧ください。
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Contact

お問い合わせ・ご相談

電話・FAXでのお問い合わせ

03-3862-3301

03-3863-2123