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流動解析とは?特徴や注意点を抑えて作業効率の向上を実現

流動解析とは?特徴や注意点を抑えて作業効率の向上を実現

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流動解析とは?特徴や注意点を抑えて作業効率の向上を実現
目次
 

工場で使用されている巨大な機械や乗用車にいたるまで、あらゆる部品に射出成形されたものが使われています。これらの部品は金型で成形されていきます。 射出成形して不良品が出た場合は材料が無駄になってしまうでしょう。 この問題を解決するために流動解析をして、生産する前段階で不良が起きないようにします。 本記事では、流動解析についてのメリットや注意点を解説していきます。成型メーカー、部品メーカー、材料屋で流動解析を導入しようとしている方に助けとなる内容をまとめました。 本記事から流動解析について知り、流動解析ができるどのソフトを導入するといいのかを判断できるようになってください。 では最初に、そもそも流動解析について解説していきます。

流動解析とは

流動解析とは、金型内部の見えない部分でどのような成形がされるかをデータ化して検証することです。樹脂などの材料が金型内部でどのような動きをするのかを3Dで見て、どこに問題点があるのかを見つけられます。 流動解析について理解するうえで2つの点を把握しましょう。
  1. 流動解析の流れ
  2. 流動解析に必要な知識
一つずつ解説します。

流動解析の流れ

まずは流動解析の流れです。流動解析の流れは、まず成形しようしている製品をCADなどのソフトで3Dにしてメッシュ化します。 平面でのメッシュ化では精度が落ちるので3Dでメッシュ化する必要があるでしょう。 成形品のメッシュ化ができたら、次の3つを設定します
  1. スプルー
  2. ランナー
  3. ゲート
上記を設定することで成形品のデータの詳細を把握できます。 成形品のデータ詳細が把握できたら、今度はどんな樹脂を流し込む予定なのかを設定します。作ろうとしている樹脂は、使おうとしているソフトに存在する種類のものでしょうか? 検索して試作品の樹脂がないなら、検討中の材料メーカーからデータ共有してもらえるかを確認する必要があります。もし、材料メーカーから共有が難しいなら、ソフト内の樹脂の中で類似した材料の樹脂を探して代用で解析に使います。 解析に使う樹脂が決まったら、今度は成形条件を設定することになるでしょう。射出時間・射出圧力・流す樹脂の温度・金型が成形条件になります。 成形条件を設定したら、その時点で解析をスタートする流れです。
  1. 成形品のデータ入力
  2. 流す樹脂の設定
  3. 成形条件の設定
順番としては、上記のようになります。

流動解析に必要な知識

次に、流動解析に必要な知識です。と言っても、流動解析に必要な知識はどんな知識があるでしょうか? 基本的には、下記の3つの知識が必要になります。
  1. 解析ソフトの知識
  2. 材料、熱、流体力学の知識
  3. 数値解析法の知識
まず、解析ソフトの知識についてはソフトごとに解析できる特性が異なります。あるソフトは、忠実に計算をしたり、省いて計算したり、しています。3Dで表示していても実は、2次元半で計算もしていたりします。現状、国内で流通している市販の樹脂流動解析は主要3つあります。Autodesk Moldflow, 3DTimon Moldex3Dです。もし、各特長は、2次元半の解析に特化、3Dの国産ソフト、3D解析で粘弾性も計算することです。続いて、必要になる材料力学等の知識です。材料力学とは、応力と変形の関係を解析することです。 単純化された平面の中で示される力の計算なら簡単にできますが、複雑な成形品になるとそうはいきません。樹脂を熱して溶かして流す工程なので熱移動もあり流体としての挙動もどのように計算しているかを把握する事が必要となります。 最後に、数値解析法の知識です。メッシュ分割して微分方程式を解く際に、近似する方法がいくつかあります。有名なものは、有限要素法(FEM)、有限体積法(FVM)、有限差分法(FDM)です。その差を知ることでより得られた結果を正しく、理解し活用することが出来ます。これらの3つの知識を持つことで、解析の結果をうまく活用する事ができます。。

流動解析でわかること

流動解析でわかることは、一言で言えば成形不良の詳細です。しかし、もう少し詳しく言えば、流動解析によってさまざまなことがわかるようになります。 例えば、下記のようなことがわかるようになるでしょう。
  • 流動パターン
  • ウェルド位置
  • エアトラップ
  • 射出圧力
  • 型締め力
  • そり
  • ひけ
  • ボイド
  • 温度分布
  • 必要冷却時間
  • 要因分析
これらのように、作ろうとしている成形品のさまざまな状態を確認できるようになります。 また、これらのデータから流し込む樹脂の温度はどのくらいが適性なのか、どのくらいの圧力をかけるといいのか、などの適切な成形条件を把握できるでしょう。 解析上の樹脂の状態を把握したら、固まるまでの時間もどのくらいだと良いのかも考慮できるようになります。また、解析結果によって成形品の品質、寸法が作ろうとしている成形品とどのくらい異なるのかを把握できるはずです。 そこ不具合を見つければ、違う成形条件を設定して、再び流動解析をして限りなく目標とする成形品に近づけていけるでしょう。成形品を実際に作る前段階でコンピューター上で可視化して検証することが、流動解析ではできるようになります。

流動解析のメリット

流動解析のメリットには、下記のようなものが挙げられます。
  1. 低コストを実現できる
  2. 不要なクレームを受けて対応をしなくてよくなる
  3. 作業工程を効率化できる
  4. 成形品の品質が上がる
まず、成形品を生み出す過程の効率化と低コストを実現できるようになります。 実際の金型を使わなくても済みますし、成形しようとしている材料樹脂も使わなくて済みます。 成形した不良品を限りなく無くすことができ、何より生産に使う人件費と時間を無駄にせずに済むことになるでしょう。 さらに、不要なクレームを受けて対応をしなくてもよくなり、信用を失うこともありません。 また、流動解析をせずに提携先に成形品評価を任せている場合、不良品が出ると大変なことになります。 不良品の詳細を担当者に確認するだけで多くの時間を使います。該当の商品を回収し、不良品の詳細を改善するのにも時間が要るでしょう。 このように流動解析は工程効率化でき、コスト削減、不良品対応の時間を無くせます。 付随して、流動解析によって成形品をさらによくしていくことも考慮できるでしょう。解析結果をヒントに、さらに既存成形品の改善点も見つけられるかも知れません。 提携業者の依頼で新成形品を作らなければいけない場合にも、流動解析ができれば依頼に答えやすくなります。 このように、流動解析のメリットは多岐に渡ります。しかし、流動解析で押さえるべき条件があるので、次にその条件を見ていきましょう。

流動解析で押さえるべき条件

ここでは、下記の流動解析で押さえるべき3つの条件について解説します。
  1. 解析領域
  2. 材料物性
  3. 境界条件
上記の条件を押さえていないと不良品の生産につながりますので、一つずつ見てみましょう。

①解析領域

解析領域とは、解析する空間の状態を限定することです。流動解析で言えば、金型内のスプルーから成形品形状を形作る空間までを主に解析領域とします。 解析領域内で、正しく樹脂の流れや、温度圧力が反映されるようにしなければなりません。 では、スプルーから成形品を形作る空間はどのくらいの広さになるでしょうか?現実に成形品を作る時と、より近い形で解析領域を限定していきます。 さらに、解析領域が狭いと、内部圧力の流れの計算に誤差が出ることになるでしょう。逆に、解析領域が広すぎると、やはり内部圧力の流れの計算に誤差が出てしまいます。 どこまでを解析領域とするには繰り返しの検証が必要ですが、金型内の流れを正しく予測できるように設定していきます。

②材料物性

材料物性とは、使う材料の特性のことです。つまり、流し込む樹脂の特性を条件として定める必要があります。 樹脂の特性は主に下記の5つです。
  • 粘度
  • PVT
  • 熱伝導率
  • 比熱
  • 機械特性(ヤング率、ポアソン比、熱膨張係数)
樹脂は、各種類により特性が異なります。そのためメルトフローインデックスMFIは、同じでも、樹脂の流動特性粘度は、全く違ったりします。そのためより正確な特性を入力して解析をする必要があります。樹脂の特性が正確であれば、解析誤差を小さくできます。 成形品に使用したい樹脂の材料データがない場合は、類似の材料を使うと説明しました。この材料データも、先程の特性を参考にして可能な限り使用したい樹脂に近いデータを使います。 より正確な解析をすれば、成形品の不良少なくしていけます。

③境界条件

境界条件とは、ある空間領域に対してシミュレーション計算をする場合に、その領域に端面に何らかの条件を設定する事をいいます。流動解析の場合は、まず、領域内に樹脂が流入しますので、その流入量、温度を設定します。又、金型との滑りを考慮kするのかどうなのか?通常は滑りなしで設定します。後は、金型との熱のやり取りをどのように扱うか?熱伝達係数を設定する事になります。それを設定する事で、樹脂が金型内に流入し、どのように流れ、温度、圧力の変化があるか結果を得ることができます。そして、樹脂の密度分布等が得られ最終的に製品の品質が得られることになります。 流動解析をする際にはこれらの3つの条件を押さえておきましょう。 最後に、流動解析の注意点についても説明します。

流動解析の注意点

流動解析の注意点とは、解析結果と現実の成形品の誤差をゼロにはできないことです。 当然のことですが、やはり理論計算結果として出しているデータですので、現実の成形品と全く同じにはなりません。流動解析をしたとしても、実際に作る成形品の無駄をすべて無くすことはできないのです。 流動解析は魔法のような解析ではなく、成形品を作るうえでご自身の企業が持つノウハウもしっかり生かすことが大切です。 最も良い方法は、流動解析で成形品の検証もしつつ、解析結果も得て比較検証を行いその結果に基づいて成形品をわずかながらでも実際に作ってみることでしょう。この2つの手順を繰り返し踏んでいくことで、流動解析の検証結果と現実の成形品との誤差を縮めていくことができるようになります。 流動解析をする前に、解析結果と成形品の誤差はゼロにはならないことを覚えておきましょう。

流動解析を活用して、効率よく製造しよう

いかがでしたか? 流動解析とは、金型内部の見えない部分の成形状態を可視化して検証することでした。流動解析の流れは、成形品のデータ入力→流す樹脂の設定→成形条件の設定の流れです。 流動解析に必要な知識は、解析ソフトの知識・材料、熱、流体力学の知識・数値解析の知識があります。 メリットは成形過程の効率化や低コストが実現できることでしょう。不良品を出さないために押さえるべき条件として、解析領域の設定・材料物性の設定・境界条件の設定がありました。 注意点は、流動解析結果と現実の成形品の誤差はゼロにはならないことです。 すべてを踏まえたうえで流動解析を導入するのは、ご自身の企業の成形品の精度を上げていくのに役立ちます。 そして、これからの提携先のニーズに答えていくためにも流動解析を導入するのはいかがでしょうか? 弊社では、完全3Dの流動解析ができるソフトウェアを扱っております。まずは、成形不良の解析についてご覧ください。
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